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尿検査で膵臓がんを早期発見可能に!

尿中マイクロRNA で膵臓がんを高精度に検知

慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センターの西原広史教授、北斗病院腫瘍医学研究所の加藤容崇医師、北斗病院 腫瘍医学研究所・次世代医療研究科の馬場晶悟研究員(筆頭著者)、Craif 株式会社市川裕樹CTO(名古屋大学未 来社会創造機構客員准教授)、安東頼子名古屋大学未来社会創造機構特任講師(研究当時)らは、尿中に含まれる マイクロRNA をAI(人工知能)解析することで、従来の血液検査よりも高精度に、早期の膵臓がんを検出でき ることを明らかにしました。本研究成果は、2024 年11 月12 日(英国時間)に世界的に著名な医学雑誌である Lancet の姉妹紙(eClinicalMedicine)に掲載されました。 掲載内容に関しては、 【こちらのHP】 でご確認ください。

  • 「最も手ごわいがん」膵臓がんに挑む新たな一歩
北斗病院 腫瘍医学研究所
医師 加藤 容崇

膵臓がんは、「沈黙のがん」とも呼ばれるほど症状が出にくく、発見時には 8 割以上が手術不可能な状態に進行しています。そのため、膵臓がんは最 も予後が厳しいがんの一つとして知られています。しかし、10mm 以下の 超早期段階で発見できた場合、生存率が飛躍的に向上することが報告され ています。早期発見が鍵となるのです。これまでの検査技術では、PET 検 査での早期発見率は30%、CT 検査で52%、超音波検査で53% と、限界 がありました。医療現場では「早期発見さえできれば」と悔しさを抱える 場面が繰り返されてきました。しかし、私たちの研究チームはついに、画 期的な検査方法を開発しました。最新の研究で発表したこの方法では、体 への負担が少ない尿検査で、膵臓がんを超早期の段階で92.9% の精度で発 見することが可能です。この成果は、膵臓がん診断の未来を大きく変える 可能性を秘めています。現在、この検査は開発初期段階にあり、費用がか かる点が課題です。しかし、多くの方にこの検査を受けていただくことで、 早期発見と治療への道を広げたいと考えています。膵臓がんへの不安を減 らし、より明るく健康的な生活を実現するために、私たちはこれからも挑 戦を続けます。

  • 抽出方法や定量法の改良で高精度に がんを検知可能に
北斗病院 腫瘍医学研究所
研究員 馬場 晶悟

尿を含む体液中には、配列の異なる何百種類ものmiRNA という物質が含まれていることが分かっています。ただ尿 中のmiRNA はとても微量かつ不純物(miRNA とは異な るRNA)が多いため、あまり解析が進んでいませんでした。 私たちはその抽出方法や定量法を改良することによって、 数百種類ものmiRNA を同時に調べることができるように なりました。一種類のmiRNA だけではがんを識別するに は不十分ですが、多種類を正確に調べることにより高精度 にがんを検知できるようになったのです。

地域の皆様が明るく健康な毎日を過ごせるよう支援させていただくことが、私たち北斗の役割と考えています。
「地域の皆様とともに、常に革新と改革を推進してゆく病院」をホスピタリティ・アイデンティティに掲げ、
地域での細やかな医療・保健・福祉のネットワークを広げ、ぬくもりに満ちた医療をこれからもすすめていきます。