リンパ浮腫外来
北斗病院
当科の紹介
当センターがおこなうリンパ浮腫治療は、複合的理学療法による治療です。複合的理学療法とは、医療リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法、スキンケアを個別の病状に合わせて組み合わせておこなう治療法です。
リンパ浮腫とは
リンパ浮腫は、リンパ管の機能低下、圧迫、手術などによる破壊などにより、リンパ流が途絶し、その下流の領域にリンパ液が貯留することにより発生する病態です。発生する部位は、頸部、上肢、下肢等ですが、その原因として、手術(頸部の手術、乳がんの手術、婦人科がんの手術、泌尿器がんの手術等)、放射線治療、がんの浸潤(リンパ節への転移あるいは浸潤)、そして原因不明(原発性リンパ浮腫)のものもあります。
下肢や上肢が腫れてきた場合に、がん治療の既往がある人は治療あるいはがんによるものである可能性が高く、がんの既往がなく、いろいろ検査して原因がわからない場合には原発性である可能性が高いと考えられます。
原因にかかわらず、放置すると次第に浮腫がひどくなり、日常生活に支障をきたす(腕が重くて手をつかいにくい、足が重くて歩きにくい、服やズボンを着にくい、美容的問題等)ことになり、また、頻回に炎症を起こし(蜂窩織炎)、病状がさらに悪化することもあり、治療あるいは日常的なセルフケアの指導が受けられる体制が整備されることが望まれています。
この疾患は、生涯にわたりつきあう症状となりますが、早期から適切な治療とケアを受けることにより、重症化を防ぎ、日常生活の改善をはかることができます。
複合的理学療法とは
リンパ浮腫の治療法としては保存的治療法(複合的理学療法)と手術があります。以下複合的理学療法について解説します。
- スキンケア:皮膚状態を把握し、感染予防、保湿などを行います。
- 医療徒手リンパドレナージ:手を用いたマッサージ法です。滞っているリンパ液を流し、むくみを改善させます。なお、美容用のマッサージとは異なります。
- 圧迫療法:マッサージによってやわらかくなった皮膚の状態を保ち、さらによい状態を保つために弾性着衣(スリーブやストッキング)を履いたり、弾性包帯を巻いたりします。
- 運動療法:圧迫した状態で、筋肉を動かすことによって、いっそうリンパの流れを改善させます。
当センターで治療対象とする方
①リンパ浮腫外来での診察(初診)
完全予約制で診察日が限定されておりますので、地域医療連携部門を通してご予約ください。
診察は原則的に初診だけですが、蜂窩織炎など病状が悪化した場合に再診する可能性があります。
(※ただし、紹介医で蜂窩織炎に対応できる場合には紹介医で治療をお願いします)
初診は保険診療となりますので、当日の治療はありませんが、簡単なセルフケアの指導はおこないます。また、初診時には超音波検査にて、リンパ浮腫の病期診断および深部静脈血栓の有無の確認をおこないます。
治療日は初診日に予約します。
※リンパ浮腫外来はすべて予約制(原則的に紹介状が必要ですが、無くても可)。紹介状が難しい方はコールセンターにご相談ください。
※リンパ浮腫外来は保険診療となります。
※リンパ浮腫外来受診日には、超音波検査をおこないますが、リンパ浮腫治療は同日にはおこないません(自由診療と保険診療の同日利用は法律で禁止されているため)。
②リンパ浮腫治療
治療は専門のセラピストがおこないます。
(元後藤学園附属リンパ浮腫研究所所員・NPO法人日本医療リンパドレナージ協会認定教師)
病状(病期)に応じて、治療間隔を決めます。病状が重く、集中治療が必要な方は、毎日おこなうことも可能です。
【 治療日 】
原則的に月曜日~金曜日 午前・午後 全予約制でおこないます。
※自由診療となります。
※治療はリンパ浮腫治療専従セラピスト 阿部 聰 が担当します。
(元後藤学園附属リンパ浮腫研究所所員・NPO法人日本医療リンパドレナージ協会認定教師)
【 料金表 】
下記表は左右にスクロールしてご覧になれます。
初回時治療 2,500円(税別)(初回時のみ治療料金に加算)
予約方法 | 料金 |
---|---|
上肢(片側)(40分) | 5,500円(税込) |
上肢(両側)(60分) | 8,250円(税込) |
下肢(片側)(60分) | 8,250円(税込) |
下肢(両側)(100分) | 13,750円(税込) |
上肢・下肢(両側)(120分) | 16,500円(税込) |
自由診療に係わる治療等に係わる主なリスク、副作用等に関する事項
このリンパ浮腫治療は、治療前に診察にて適応・禁忌を必ず確認してから治療を行うため大きなリスク等はございません。
ただし皮膚が弱い方ですとたまに圧迫療法の弾性着衣着用時、または弾性包帯使用時に皮膚にかぶれ等出る場合がありますので、その際は圧迫を一旦中止して病院までご連絡ください。
弾性着衣・弾性包帯を適切に使用をしていない場合、生地の食い込み等による皮膚の裂傷やリンパ浮腫の増悪を生じる可能性がありますので、治療時の説明に基づいて行って下さい。
受付・診療時間
- 2020年01月15日更新
- リンパ浮腫外来予定表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 |
石橋 |
川見※2 |
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午後 |
【受付時間】
水・金/8:00〜11:30
(その他の曜日については予約時ご相談)
【診療時間】
水/9:00〜12:00
金/10:00〜12:00
(その他の曜日については予約時ご相談)
※1 北斗病院での診察です(都合により診療曜日・時間等が変更となる場合があります)。
※2 10:00~12:00 北斗病院での診察です
本外来は完全予約制です。
【リンパ浮腫外来・リンパ浮腫治療に関するお問い合わせ】
お電話にてお問い合わせください。
北斗コールセンター 0155-48-8000
(月~金 9:00~17:00、土 9:00~12:00)
医師紹介
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川見 弘之
乳腺外科 顧問/ 乳腺・乳がんセンター 顧問/ リンパ浮腫治療センター 顧問/ 腫瘍医学研究所 顧問
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石橋 和也
総合診療科 部長/ 緩和医療科 部長/ 救急部 部長
対象疾患及び治療法について
対象疾患
2)検査しても原因がわからない方
3)手術や放射線治療の後遺症としてリンパ浮腫が出現し、治療をご希望の方
4)症状は軽度ではるが、セルフケア等の指導をご希望の方
5)がんの進行によりリンパ浮腫があり困っている方
6)頻回にリンパ浮腫による蜂窩織炎を繰り返している方
※蜂窩織炎による炎症がひどい時には医療リンパドレナージの施術は禁忌となっています。
治療方法について
リンパ浮腫治療のセルフケア
ご自宅でできるリンパ浮腫のセルフケアについてPDFにまとめました。
下記よりダウンロードできますのでご利用ください。
本PDFは「リンパ浮腫治療のセルフケア」(文光堂:加藤逸夫監修、佐藤佳代子著)と 日本医療リンパドレナージ協会(MLAJ)で行われている実技講習会の内容を参考に、編集・作成しています。
また、転載可としておりますので、病院等で患者様にセルフケアを伝える際、そのままご使用いただいて構いません。(ただし著作権は放棄しておりません)
この情報が少しでもリンパ浮腫治療の普及に役立つことを願っております。