健診と検診は同じ「けんしん」と読みますが、それぞれ異なる意味を持ちます。北斗病院の検診センターが「健診」ではなく、「検診」としているのは、健康であることを確認する「健診」の目的もありますが、特定の病気を発見するために行う検査で病気を早期発見し、早期治療につなげることを目的としているからです。当院では、1993年の開院当初より、第二次予防医療(発症する前に病気を発見し、発症しないように対応していく)をコンセプトにさまざまな検診を行ってきました。今回は、私たち北斗病院が行っている「検診」について、紹介します。
皆さん検診を受診される一番のきっかけは何でしょう?一番は何も異常が無いことを確認して、「安心」したいということですね。もちろん、それは当然のことだろうと思います。でも、それだけで終わってしまっては、せっかくの検診代がもったいないです。なにか異常がないか、異常の前段階ではないかを見つけて、早めに手を打つことが大事です。たとえば、動脈硬化の傾向を指摘されれば、その原因となる高血圧や脂質異常などがないかをふりかえってみて、未病(病気になる前)の段階から早めに手を打つことを考えるのが、「積極的な、攻める」検診の受け方だと思います。現時点では大丈夫!と安心するだけの「受けっぱなしの検診」ではなく、一歩進めて「次につながる検診」にしてみませんか?
血管に関わる病気の危険性、「動脈硬化」を調べる
年間約2,300名以上の方に受診していただいている北斗を代表する検診のひとつです。脳ドックの目的は、脳腫瘍や脳動脈瘤(血管のコブ)の早期発見もさることながら、一番は「動脈硬化」を調べることです。「動脈硬化」は将来、脳や心臓の血管にかかわる病気(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞など)の危険性を高め
ますが、直接何かで表すことは難しいため、代わりになる指標(代替マーカー)で評価します。2009年より動脈硬化の指標のひとつとして「高感度CRP※」を測定しています。動脈硬化は「血管の慢性炎症」と考えられており、発熱が無く、CRPが慢性的に高い(0.3mg/dl以上)方は動脈硬化の危険性大です。そのような方には肥満や喫煙など生活習慣の改善や青魚をすすめる食習慣の資料などで注意を呼びかけています。その他、頸動脈の内膜の厚み(プラーク)や血管の弾力性などを表す指標(ABI/PWV)、眼底検査なども動脈硬化の指標としています。
※CRPとは「炎症」を反映する項目で、感染など身体のどこかに炎症が潜んでいる時に上昇します。
北斗病院 副院長
検診センター長
脳神経内科 部長 金藤 公人
正常な血管
プラークにより狭くなった血管
脳の状態と脳の血管を精査するMRIとMRA
MRIでは気づかないうちに起こっている脳梗塞や脳出血の痕跡がないか、脳の加齢変化、いわゆるシミのような「白質病変」の程度などをみています。またMRAでは脳の血管を精査し、破裂すると命に関わるくも膜下出血を引き起こす「動脈瘤」がないか、高度の狭窄病変はないかなどを調べています。
MRIは、磁気と電磁波によって、あらゆる方向から脳の断面画像を撮影する検査です。小さな脳梗塞や脳腫瘍などの病変を可視化することが可能です。MRAは、太い血管が詰まったり細くなっていないか、動脈瘤(血管の瘤)の有無や、血管の状態を立体的に映し出します。
MR(I 断層写真)画像
MRA(血管撮影)画像
認知症の早期発見を
もの忘れ、認知症の早期発見を目的に60歳以上の方には公認心理師が直接行う認知機能検査(MMSE)、60歳未満の方にはタッチパネル式の簡易認知機能検査(MSP)を用い、現在の認知機能を評価しています。日本脳ドック学会認定施設として、ガイドラインに沿った脳ドックを実施しています。
検査メニュー
●身体測定、血液検査(高感度CRP検査含む)
●頸動脈エコー検査
●心電図検査
●眼底検査
●尿検査
●MRI・MRA撮影
●認知機能検査
●動脈硬化検査(ABI/PWV・60歳以上)
●結果説明・保健指導
プレミアム脳ドック
本年4月より3テスラでの頭部MRI撮影の他、将来の認知症リスクを調べるSupportBrain、ドライブシミュレーター、腫瘍マーカー等を追加した、プレミアム脳ドックを開始します。MRIのみならず、あらゆる角度から総合的に診断いたします。

3テスラMRI
SupportBrain(サポートブレイン)/オプション検査
脳ドックで撮影したMRIの脳画像だけで、認知症のリスクがわかります。AIによる高精度のMRI画像解析で脳全体の状態を把握。将来の脳状態を予測することで、認知症が発症する将来のリスクを調べるものです。

※本検査は、認知症を診断するものではありません。
法人北斗公式YouTubeチャンネル
脳ドック情報発信中!
がんの早期発見をより短時間に、安全に
日本人が一生のうちに「がん」と診断される確率は男性62.1%(2人に1人)、女性48.9%(2人に1人)、日本人が「がん」で死亡する確率は男性24.7%(4人に1人)、女性17.2%となっています※。当院のがんドックは「がん」の早期発見を、より短時間に安全に行う「PET-CT」を用いた検査になります。PET-CT検査は
❶ 一度に首から股下まで「がん」検査が可能
❷ 1cmからの「がん」やリンパ節転移の診断が可能
❸ 腫瘍の良性・悪性判断並びに悪性度の診断に役立つ
❹ 苦痛や不快感が伴わず、着衣のまま短時間で検査可能
以上の4つが大きな特徴です。がん細胞は正常な細胞に比べ、約3 ~ 8倍のブドウ糖を取り込みます。PETCT検査はこの性質を利用し、ブドウ糖に近い成分(FDG)を体内に投与して撮影します。がん細胞にFDGが多く集まり、がんを発見する手がかりとなります。
※国立研究開発法人国立がん研究センター 最新がん統計より
核医学診断科 部長
加藤 誠一
PET-CT検査で撮影された画像

PET-CTで撮影された画像。丸の部分にがんが映し出されています。また、画像上では腎臓と膀胱にFDGが吸収または蓄積されやすいため、赤く反応しています。
複数の検査の併用で、より精度の高い診断を
PET-CTはすべての部位において得意ではありません。胃・腎臓・膀胱などの病巣検出が苦手です。この苦手とする部位を補うべく、当院の「がんドック」では、腫瘍マーカー(男女とも5種類)、骨盤部MRI検査、胃がんリスク検査ABC分類を併用し、より精度の高い診断を可能にしています。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、採血で検査することができ、体への負担はほとんどありません。がん細胞の数が多くなると数値が高くなります。
AFP…肝細胞がん
CEA… 肺がん・大腸がん・胃がん・肝臓がん
SCC…肺がん・食道がん
CA19-9…消化器系がん・膵臓がん・胆のうがん・胆管がん
CA125(女性のみ)…卵巣がん・子宮がん
PSA(男性のみ)…前立腺がん
検査メニュー
●身体測定
●血液検査(胃がんリスク検査ABC分類含む)
●尿検査・便潜血検査
●PET-CT撮影
●甲状腺エコー検査
●胸腹部CT撮影
●MRI撮影(骨盤部)
●PET-CT結果説明
消化器系を検査し、体に潜む病気の早期発見を
人間ドックは、生活習慣病をはじめとする体の異常を早期に発見するのを目的としています。一般的な健康診断と比べ検査項目が多く、胃カメラ、腹部エコーなど消化器系の検査を行い、体に潜む病気の早期発見ができることがメリットです。

検診科 顧問
河崎 任利

検診科
水谷 彰吾
胃カメラで直接胃の中を検査
当院の人間ドックは、バリウム検査(胃透視検査)ではなく、胃カメラを採用しているのも特徴のひとつです。胃カメラは、バリウム検査と比べ、直接胃の内部を観察するので、より小さな異常を見つけることが可能です(胃潰瘍やポリープなど)。特に早期の胃がんは、わずかな隆起や凹み、周囲の粘膜との色の違いなど、胃カメラの方が病変の指摘には優れています。また「がん」が疑われた場合、病変の一部を採取(生検)し、病理診断によって、確定診断することができます。

経鼻内視鏡検査で撮影された早期の胃がん
苦痛の少ない「経鼻内視鏡」
但し、胃カメラにもデメリットがあり、挿入時に苦しいと感じます。特に嚥下反射の強い方は辛く感じるかと思います。そのような方には経口から挿入する内視鏡よりも苦痛の少ない鼻から挿入する経鼻内視鏡もご用意しています。不安な方はぜひ経鼻内視鏡をお試しください。
経口内視鏡
経鼻内視鏡
経鼻内視鏡は、経口内視鏡に比べ、スコープが舌根部に触れないため、嘔吐反射が少なく、挿入もあまり気にならないことが多いことから、経鼻内視鏡を希望する方が増えています。
※すべての方に経鼻挿入が可能なわけではありません。
超音波で体内を調べる腹部エコー検査
腹部超音波検査は、超音波(人の耳には聞こえない高い周波数の音波)を用いて、内臓から返ってくる反射波を画像化して診断する検査です。仰向けに寝て頂き、腹部にゼリーをぬって検査します。
検査メニュー
●身体測定
●血液検査
●尿検査
●便潜血検査
●視力・聴力検査
●眼底・眼圧検査
●胸部X線撮影
●心電図検査
●肺機能検査
●胃部内視鏡検査(胃カメラ)
●腹部エコー検査
●結果説明
●栄養指導(対象者のみ実施)

腫瘍医学研究所
加藤 容崇
ステージ1など早期からがんリスクを検出
miSignal®(マイシグナル)は、食事制限なく尿検査で、今の「がん」リスクを調べます。尿中にごく微量に含まれる、がん由来のマイクロRNAをAIで解析するものです。がん組織は早期のうちにマイクロRNAを放出することが判っており、ステージ1など早期からがんリスクを検出することができます。「尿」を用いた検査であるため患者さんの負担が全くない、体に優しい検査となっています。この検査はあくまでもがんの“リスク”を判定するもので診断を確定するものではありません。がんがどれくらい疑わしいかを「miSignal®」で判定し、疑わしい結果が出た場合には、その後に専門の診療科で精密検査を行い、がんの有無をしっかり調べ診断を確定します。精度は非常に高い検査ですが、100%ではありません。偽陽性(検査で陽性と出ても、実際にはがんでないこと)であることもあるので、精密検査でがんが発見できない場合には、小さすぎて見つからないのか、偽陽性であるのかを確定するために、数カ月おきに検査を行い、正しい診断を目指します。
マイシグナルはがんリスクを調べられる尿検査です

尿中マイクロRNA をAI 解析することによって、「今」と「将来」の2 方向からがんリスクを判定します。
マイシグナルは早期発見のために開発された検査です

検査で発見可能な早期がんの期間は短くがんによっては半年〜2 年程度と言われています。ですから定期的な検査で早期発見のタイミングを逃さないことが重要です。
尿のマイクロRNA検査は、早期すい臓がんの検出性能が優れています※
CA19-9 と比較したすい臓がん検出感度

すい臓がんは早期発見が難しく、従来のすい臓がんの血液マーカーであるCA19-9 の早期がん ( ステージI/IIA)の感度は37.5%に対して、尿中マイクロRNA 検査は感度92.9%。早期がんの検出性能が優れていることが明らかになりました。
※ 論文の引用(A noninvasive urinary microRNA-basedassay for the detection of early- stage pancreaticcancer: a case control study )
対象がん種は10がん種

2025年4月より7がん種から10がん種に変更となります。
注意事項
妊娠中、生理中の方、目視できる血尿のある方、また20歳以下の場合は本検査は受検できません。
本検査は、医療行為として、がんに罹患しているかどうかの「診断」に代わるものではありません。
その他の検診/オプション検査について
その他、増えつつある虚血性心疾患のリスク評価・予防・診断を目的とした「心臓ドック」、乳がんの早期発見・早期治療を目的とした「乳がん検診」も行って
います。また2025年4月より新たなオプションを追加することになりました。
【NEW】アレルギー検査「View39」
特定の季節になると目のかゆみや鼻水がでる。寒くなると、息苦しくなる気がする。時々、蕁麻疹が出ることがあるが原因がわからないなどの症状はありませんか。何らかのアレルギー症状に悩まされているけど、原因となる物質がわからない。症状の原因となっているアレルギーを知ることで、対策や治療の助けになります。気になる症状がある方におすすめします。
【NEW】腸内フローラ検査「Flora Scan®」
健康意識が高くなっている今、健康づくりにおいても、病気についても、腸が深くかかわっていることはご存じのことと思います。人の腸内には数百種類以上の細菌が住み着いており、これらは腸内フローラと呼ばれています。腸内フローラのバランスは一人ひとり異なり、ライフスタイルによっても異なります。現在のご自身の腸内状況を総合的に評価する「Flora Scan」を試してみてはいかがでしょうか。
【リニューアル】睡眠時無呼吸症候群検診
睡眠時の呼吸状態を観察・記録し、睡眠時無呼吸症候群であるか判定する簡易的な検査です。指先にセンサーを装着し、睡眠時の酸素血中濃度を測定するパルスオキシメトリ法を用いています。検査後は当院の耳鼻科専門医がデータを分析し、評価・判定を行います。ひどいイビキをかく方、睡眠時間は十分にとっているが、日中よく眠くなる方はぜひお試しください。
北斗病院検診センターでは
健康で日々「笑顔」で過ごすことができるよう、お手伝いさせて頂きたいと考えています。検診を受けてみたいが「何か見つかっても困るので受けるのを躊ためら躇っている方」「何を受けたらよいのか、わからない方」など、お困りの方はぜひ一度お問い合わせください。お話をお伺いし、お客様にとって最適なご提案をさせて頂きます。
プレミアム脳ドック…55,000円
脳ドック 60歳未満…25,300円
脳ドック 60歳以上… 29,700円
がんドック… 73,700円
人間ドック… 41,800円
miSignal®(マイシグナル)…69,300円
心臓ドック… 29,700円
乳がん検診 マンモグラフィのみ… 7,150円
乳がん検診 乳腺エコー(オプション)… 3,300円
Flora Scan(フローラスキャン)… 16,500円
アレルギー検査 View39…11,000円
睡眠時無呼吸症候群検診…6,600円
SupportBrain(脳ドックのみ)…7,700円
・お住いの自治体により助成制度が適応される場合がございます。詳しくは各自治体へお問い合わせください。
・各種クレジットカードまたは電子マネーでの決済もご利用いただけます。詳しくはお問合せください。
北斗検診センター
TEL 0155-47-7777
〒080-0833
北海道帯広市稲田町基線7番地5
【予約対応時間】平日▶9:00〜17:00
【直通FAX】0155-47-7610
電話が繋がりにくい時は北斗コールセンター
TEL 0155-48-8000へ

がんコース:19,800円(税込)
その他コース:16,500円(税込)
セットコースもご用意しています。詳しくはお問い合わせください。

お問合せ・ご予約受付時間:平日9:00〜17:00
※お住まいの町により、助成が適用される場合があります。
地方独立行政法人 広尾町国民健康保険病院 〒089-2622 広尾町公園通南4-1 Tel 01558-2-3111(代)