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高精度のコンピューター制御による
ピンポイント照射
tomotherapy

メッセージ

診療部 放射線治療科 部長

宮本 顕彦

Akihiko Miyamoto

Message

当院では数多くの装置が導入されています。トモセラピーと、電磁式温熱療法の装置などです。適応があれば電磁式深部温熱療法を放射線治療と併用することが可能です。これらを利用してがんと闘っていきましょう。

診療部 放射線治療科 医長

松本 健一

Kenichi Matsumoto

Message

現在4人に1人は何かしらのがんになると言われており、将来的には2人に1人はがんになると言われております。がんと一口にいっても存在する臓器や進行状態、家庭状況等、患者様の置かれている状況は千差万別です。患者様一人一人に向き合い、状況に応じて一人一人に適切な放射線治療を提供できれば幸いです。一緒に頑張っていきましょう。

最先端の放射線治療・がんは切らずに治る時代へ 芝本 雄太 氏
最先端の放射線治療・がんは切らずに治る時代へ 芝本 雄太 氏

北斗病院の実績

対応疾患について

トモセラピーは、がん病巣以外の周辺部位に照射される放射線量が従来の放射線治療機に比べて圧倒的に少なく、副作用を最小に抑える効果が期待されています。
  • 前立腺がん
  • 肺がん
  • 乳がん
  • 原発性脳腫瘍
  • 頭頚部がん
  • 直腸がん
  • 膵臓がん
  • 食道がん
  • 転移性脳腫瘍
  • 緩和治療

前立腺がん

前立腺がんに対するトモセラピーでの放射線治療は、前立腺に高い放射線量を集中させることが可能で、治療成績は手術とほぼ同等とされています。副作用についても、手術で見られる尿漏れはありませんが、放射線治療では前立腺のすぐ後ろに直腸があり、どうしても直腸の前側は前立腺に近いため、直腸炎による血便の可能性があります。ただ、古いタイプの放射線治療機で行うのと比べて、放射線被曝量が多い直腸の範囲が少なくなるため、血便の発症の確率は低いとされます。

肺がん

初期の肺がんや、数が少ない小さな転移性肺腫瘍の場合、トモセラピーでは、腫瘍に放射線を集中し、1回当たりの放射線量を多くして、治療回数を4~5回という少ない回数で行ういわゆるピンポイント照射が施行できます。
進行した肺がんでも、20~30回の治療回数での放射線治療も施行できます。その場合、がん細胞が広がっていると考えられる領域に広く当てつつ、腫瘍に当たる放射線量を増やすことも出来ます。

乳がん

乳がんの治療法として第一は手術ですが、術後治療を何も行わない場合手術5年後の局所再発率はⅠ期で10%程度、Ⅱ期で15%程度、Ⅲ期で30-50%程度であることが知られています。術後早期に放射線治療を施行することで、乳がん局所再発率を10-20%程度減らすことが分かっており、乳がん診療ガイドラインでも乳房温存術後の放射線治療は標準治療の一つとして明記されています。
トモセラピーによる乳がんへの術後照射は、照射口を固定した「トモダイレクト」という手法を用います。4~6方向から照射を行う事で、皮膚炎の軽減や肺への影響を少なくすることが期待されます。
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原発性脳腫瘍

原発性脳腫瘍は脳神経を構成する細胞由来の腫瘍であり、最も頻度の高い腫瘍が膠芽腫です。頭蓋内腫瘍の10%弱を占めています。5年生存率は10%程度、平均余命は2年程度です。
標準的な治療法は開頭手術で可能な限り摘出後、放射線治療60Gy/30回とテモゾロマイド(化学療法)を行い、退院後外来で月1回の維持療法を施行することです。
北斗病院では脳神経外科と緊密に連携して上記標準療法を施行しております。
トモセラピーでは正常脳組織等への線量を抑えた放射線治療が可能です。

頭頚部がん

頭頚部領域に対する放射線治療では、リンパ節の広がりや臓器の位置関係などにより複雑な形状の線量分布が求められます。この点で、従来の放射線治療装置(リニアック)と比べトモセラピーが得意とする領域です。例えば、唾液分泌を行う耳下腺や顎下腺に当たる放射線量を少なくすることができるので、唾液量の減少による口内乾燥を緩和できます。治療効果も良好で、初期の喉頭がんでは手術と同等の治療成績とされています。手術と異なり、発声などの機能を温存できます。,北斗病院では、放射線治療医が血管内治療グループ医師と連携し、放射線併用超選択的動注化学療法(動注療法)も行っています。
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直腸がん

直腸がんの治療法として第一は手術ですが、進行がんの場合、手術単独では摘出の際に残存の可能性があることや術後の再発率が高いこと等が知られています。
欧米では肛門に近い進行直腸がんに対して術前化学放射線治療を組み合わせることで術後の再発率を低下させることが報告されており、一般的な治療法として知られています。日本でも徐々に上記治療法が普及しつつあります。トモセラピーでは小腸等の危険臓器への線量を抑えた放射線治療が可能です。

膵臓がん

膵臓がんの治療法として第一は手術ですが、診断時に手術が可能な患者様は約20%程度であり、切除できても術後の再発率が高く5年生存率は20-40%と予後不良です。
切除不能又は切除境界型膵臓がんの治療法として化学放射線治療が標準治療の一つとして施行されています。
放射線治療では体外から放射線を照射する外照射が施行されており、トモセラピーでは隣接する十二指腸等の危険臓器への線量を抑えた放射線治療が可能です。

食道がん

食道がんの治療法は早期であれば内視鏡的粘膜切除術や手術、進行がんでも手術可能な場合は手術が第一の治療法です。
しかし、年齢や心疾患、糖尿病などの合併症のため、手術が出来ないと判断される進行食道がんの患者様も一定数おります。上記の方々に対する治療法の一つとして抗がん剤を併用した化学放射線治療や放射線単独療法があります。
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転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍の発生率は全がん患者の約10%、10万人はいると推定されています。原発部位別では肺がんが46%と最多で、次いで乳がんが15%、大腸がんが6%、その他腎がん4%、胃がん3%と推定されています。
単発性だけでなく、複数個の転移(最大5個)を認める場合でもピンポイント照射の適用になる場合があります。
その他にも転移が複数ある場合、脳全体への放射線治療(全脳照射)も可能です。さらに記憶に関わる海馬を避ける全脳照射もトモセラピーでは可能です。
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緩和治療

がんの症状を緩和する目的で、放射線治療を行います。例えば、骨に転移し、痛みがある場合では、1~5回の少ない回数の放射線治療で、痛みが和らぐのが期待出来ます。荷重がかかる骨に転移していて、骨折の危険性がある場合でも、同様に1~5回の放射線治療にて、再骨化して骨折のリスクの低下が期待出来ます。また、腫瘍からの出血が続いて貧血になっている場合、10回の放射線治療で止血効果が期待出来ます。

トモセラピーの特徴

  • ① 痛くない・切らない治療
  • ② 末期がんでもQOL改善
  • ③ 数日で治療可能なケースもある
  • ④ 通院での治療が可能
  • ⑤ 高精度放射線治療で保険適応
  • トモセラピーは手術のように身体に傷をつけることなくがん細胞を集中的に狙い撃ちすることができる、人にやさしくがんに厳しい放射線治療装置です。 放射線治療装置とCTが一体になっており、治療の度にCTでがんの位置を確認します。多方向から異なる線量をがんの形に沿って照射(強度変調放射線治療=IMRT:Intensity Modulation Radiation Therapy)するため、 がんの制御率を向上させ、かつ、副作用を極力軽減することができます。
  • 手術や抗がん剤治療が難しい場合、また、多発転移、末期がんでも多くの場合は治療適応になります。
    疼痛を伴う骨のがんなどに対し痛みを軽減し、QOLを高める効果もあります。
    トモセラピーは根治的な治療はもちろんのこと、緩和ケアの視点からも注目されています。
  • 照射する部位や大きさで照射回数は異なります。通常は20回~30回ですが、小さい病変や腫瘍に集中して照射する治療では1回で終わる場合もあります。
  • トモセラピーは通院による治療が可能です。日常の生活を送りながら治療を受けられます。もちろん仕事しながらの治療も可能です。
    一回の照射はCT撮像による位置補正を含めて約20分です。通常は1日1回、月曜日~金曜日の週5日間の照射を行います。
  • 放射線治療が可能と医師が判断された場合、治療費には健康保険が適応されます。
    放射線治療の算定には2種類の方法があります。
    一つは照射回数に関係なく、1部位に付き一律定額で、3割負担の場合は18万9千円です。
    もう一つは回数に応じて治療費が掛かる方法です。高額医療費制度など公的な制度を利用できる場合がありますので詳しくは担当者にご相談ください。

ACCURAY

トモセラピーは、がん治療における最新鋭の放射線治療システムとして世界中で注目を集めている治療機器です。国内では当院がはじめて導入しました。 トモセラピーはがん治療における新しい概念の放射線治療システムです。 高精度のコンピューター制御により、放射線を複数方向からがん組織に照射することでピンポイント照射を可能としました。

進化する放射線治療

ライナックではできない全骨髄照射、肺がんの定位的放射線治療、安全な自然呼吸状態で治療します。 海馬を回避して全脳照射、複数の腫瘍でも複雑な形状に線量分布を最適化して治療でいます。
左右にスワイプします
  • 360度方向から治療できる

    トモセラピーはIMRT(強度変調放射線治療)専用装置です。放射線(6MVX線)を出す照射口が360度回転しつつX線CTのように寝台が移動させながら照射します。治療対象の腫瘍に対してさまざまな角度から放射線を照射でき、線量を腫瘍に集中させることができます。
  • 広い範囲の治療が可能

    長いターゲットに対しては、寝台移動と連続回転照射によるシームレスに照射(最長160cm)が可能です。全脳全脊髄照射などに威力を発揮します。さらに、長い範囲に点在する腫瘍に対しても一度の照射でカバーすることが可能です。
  • 危険臓器を回避する最適化能力

    危険臓器(OAR:Organ at Risk)を回避(線量を低減)して標的を照射できます。転移性脳腫瘍に対する全脳照射はもちろん、脳機能や認知の面では重要な海馬を回避しつつ複数の脳転移に対して個別に照射することも可能です。
  • 治療計画のシミュレーション

    治療計画に基づき、計算上と実際の機器による放射線照射とのずれがないか、専用の計測機器に放射線を当ててシミュレーションしています。計算とずれて放射線が照射されても治療効果は得られませんし、照射されすぎると副作用が強くなるなどのリスクも増えますので、慎重に準備を進めます。

治療の流れ

約一週間で治療を開始します

左右にスワイプします

診察

トモセラピーの治療を受ける場合は、患者さんには主治医からの紹介で受診していただきます。紹介状と検査結果などの資料をもとに、放射線治療医が放射線治療の適応の可能性と治療方針を検討します。この治療方針に患者さんが納得され、治療を受けることに同意されたら、放射線治療の準備に入ります。

治療計画用のCT撮影

放射線治療の実施決定後、治療計画用のCT撮影を行います。必要に応じて、補助的にPET検査も行うこともあります。CT撮影時には、実際の治療の際に使用する固定具を装着して行います。固定具は、治療対象の部位により様々です。治療計画は、通常2~3日で完成します。

治療開始

シミュレーションの結果、問題がなければ、放射線治療の開始です。その後は計画に準じて治療して、規定回数が終われば、治療は終了となります。症例によりましても異なりますが、20分から30分程度の治療です。なお、治療回数につきましても患者様それぞれ異なりますので医師にご確認ください。
  • 診察
  • 治療計画用
    のCTの撮影
  • 治療開始

約1週間

受付・診療の案内

外来診療予約票(PDF)でご確認ください。

2023年09月20日更新
放射線治療科予定表
北斗病院
午前
午後

※1

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【受付時間】
月・火・木・金 12:00~16:30
(完全予約制)

【診療時間】
月・火・木・金 13:00~17:00
(完全予約制)

※1 完全予約制にて診察
※「放射線治療科外来」は紹介状が必要です。
放射線治療科の受診につきましては予約が必要となります。
現在診療を受けられている医療機関様からの紹介状をご用意の上、お電話にてご連絡ください。
紹介状をお持ちでない患者様につきましてはお問い合わせください。

医師紹介

診療部 放射線治療科 部長

宮本 顕彦

出身大学 名古屋市立大学 1996年
取得認定医/専門医 日本医学放射線学会 放射線治療専門医
所属学会 日本医学放射線学会
日本放射線腫瘍学会

診療部 放射線治療科 医長

松本 健一

出身大学 札幌医科大学 2012年
取得認定医/専門医 日本医学放射線学会 放射線治療専門医
がん治療認定医
所属学会 日本医学放射線学会
日本放射線腫瘍学会