病気についてアイコン

病気について

外来でも家でもできる心リハ

2021年11月19日

理学療法士/ 心臓リハビリテーション指導士 / 心不全療養指導士
井上 拓也

以前の記事(クリックで閲覧できます)で、心臓リハビリテーション:略して「心リハ」についてのお話をしましたが[医療コラム:心リハって何?参照]、知っていた方はどのくらいたでしょうか? 2017年に日本で行われた「リハビリの認知度」アンケート調査では、「脳卒中・骨折手術後のリハビリ」について、「知らない」と答えた割合がわずか3%だったのに対し、「心リハという言葉やその内容」について、「知らない」と答えた割合は70%、「聞いたことがあるが内容は知らない」の割合は23%と、非常に多かったことが明らかになりました。

短期入院だからこそ必要!「外来心リハ」

さて、今回は「外来心リハ」について話していきます。外来心リハとはその名の通り、外来通院で行う心臓リハビリテーションです。心臓病での入院期間は年々短くなってきており、当院でも心臓手術後では10~14日で退院する方がほとんどです。入院期間中もリハビリは毎日行いますが、入院前と同様の身体機能へ戻りきらずに自宅へ退院することも多く、外来に通いながらリハビリを行い、体力を回復していきます。

外来リハビリテーションの様子(感染対策もしています)

外来心リハの効果

心臓病で入院された方のうち、心リハが行われた方は7割いるのに対して、引き続きの外来心リハが行われた方は、その1/3にも満たないと報告されており、外来心リハの認知度、実施率の低さが分かります。しかし近年、外来心リハが重要視されてきています。日本の研究では、平均69歳の心筋梗塞患者は平均4.3年で33%が心臓病で再入院することが報告されています。しかし、退院後もリハビリを続けることにより、総死亡率は20%、心血管死率は26%、再入院が18%も減少すると言われています。

外来心リハで総合的な管理

「外来心リハ」とは何をするのか。当院では集団での運動を行っており、準備体操から始まり、筋トレ機器を用いた筋力増強運動や、エアロバイクを使った有酸素運動を行っています。基本的にはスタッフ1に対し患者さん2~3で行っていますが、必要に応じてマンツーマンでも行っています。

 

また、運動だけではなく、自宅での適切な食事を取れているか、血圧や体重の経過をみることで体調に変わりがないかを確認し、病的な変化があった場合には主治医への報告を行っています。運動するだけではなく、全身状態の確認を行い、健康的な生活を送れるように支援しています。

最後に、自宅でできる運動について紹介していきます。外来リハビリは週に1回しか行うことが出来ないため、自宅での運動がとても大事になります。これから紹介する運動を行い、健康的な生活を送りましょう!

① 準備運動
いきなり運動するよりも、ストレッチや軽めの体操をしてから運動することで心臓への負担を減らせるので、準備運動をしっかり行いましょう。

② 筋力トレーニング
脚の筋肉を鍛えることで、心臓の働きを助け、心臓病予防に繋がります。

③ 有酸素運動
心肺機能を高め、疲れにくくなり、心臓病の予防になります。自宅ではウォーキングが手軽な有酸素運動であり、一番効果があります。1日20~30分を目安に行い、出来るだけ毎日行いましょう。しかし、無理に行う必要はないので、雨の日や体調の悪い日は控えましょう。