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病気について

病院のソムリエ

2021年8月13日

医療ソーシャルワーカー / 社会福祉士 火山滉揮

食事に合うワイン選びをサポートする「ソムリエ」。病院の中にもソムリエのように患者さんの状況や希望に応じて、退院後の生活のサポートや福祉制度の紹介をしている職種がいるのです。「医療ソーシャルワーカー」と呼んでいます。
最近「テーラーメイド医療」という言葉があります。患者さんのタイプにあわせて、医師が最善の治療を選択し提供するものです。対照的に医療ソーシャルワーカーは、数ある選択肢から患者さんやご家族が最善な選択をできるように支援します。まるでお客さんと相談しながら最高の一杯を選ぶソムリエのように、知識や経験をもとに、より良い生活ができるお手伝いをします。


治療のその先に・・・

病院での治療が問題なく終わり、自宅にスムーズに退院できる患者さんやご家族には、私たちの存在を知る機会はほとんどないと思います。
しかし、病院での治療に目安がついた後も、次のようなことはしばしばあります。

  1. ベッド上での療養が長引いてしまい、歩くことが難しくなった。
  2.  ケガや病気が原因で仕事ができなくなり、経済的な不安がある。
  3.  介護が必要な状況になってしまった。


このような時に、私たち医療ソーシャルワーカーがお手伝いします。数ある福祉サポートの中から、今一番必要なものを、患者さんが選べるよう話合いをします。また退院先の病院や施設をご紹介することもできます。

地元で生きる

「十勝の人って地元が好きだよね」という言葉。みなさんも耳にしたことありませんか?帯広出身の私は、地元が大好きです。
患者さんが医療や介護が必要になった時、医療ソーシャルワーカーは「日本全国の選択肢」からご提案ができます。しかし、やはり住み慣れた十勝で暮らしたいと思う方が多いのではないでしょうか。

十勝の地に開院した北斗病院は、「社会医療法人」の北斗グループのひとつです。グループとして病院、介護施設、在宅サービス事業所を十勝管内に数多く有しており、地元で完結できる仕組みがあります。法人内で情報共有し、よりスムーズに連携できることが大きなメリットです。大好きな地元で長く過ごせるようにお手伝いさせてください。

こんな時、私たちの出番です!

■ ケース1 65歳 男性

半身麻痺となり、脳梗塞加療目的に北斗病院へ入院した。入院中の検査で心臓疾患が見つかり、手術が必要となった。術後経過は良好であったが、身の周りのことに介護が必要な状態のため、自宅への退院が難しいと判断された。

医療ソーシャルワーカーが介入し、「自分で歩行できるようになって、自宅へ退院したい」との意向を確認。十勝リハビリテーションセンターへ転院する方針となった。
転院後も医療ソーシャルワーカーが面接し、自宅内の手すりを希望されたため、サービスを紹介し、退院にあわせて住宅改修、レンタルできるようになった。

■ケース2 82歳 女性

心不全にて入院。高齢夫婦2人暮らし、夫が認知症。娘さんが退院後の生活を心配していた。医療ソーシャルワーカーが介入し、福祉的サポートを受けるために、介護保険制度の申請を行い、デイサービス利用を検討した。また、地域包括支援センターへ働きかけをし、退院後のサポートも依頼した。

退院後も介護サービス、娘さんの支援を受けながら、夫婦2人で暮らせるようになった。


 
北斗病院には6人、十勝リハビリテーションセンターには4人の医療ソーシャルワーカーが常駐しており、入院中だけでなく、外来患者さんからのご相談も可能です。

退院後のこと、福祉サービス等でお悩みの際は、気軽にお声掛け下さい。