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病気について

「コンマイチの戦い」

2021年7月26日

ICU看護師 角, 一朗

医療ドラマなどで、看護師が腕時計を使って、点滴を調節しているシーンを見たことがありますよね。あれは点滴により投与する量や時間配分が決められており、目測で点滴の速さを調節しているのです。秒針と点滴のタクタク落ちる様子を一度に見るため、腕を挙げ、斜め上の目線の姿になっています。

点滴ってアバウト?

クレンメという絞り部分を調節することで、1時間に何滴落ちるかという「滴下数」を決めています。例えば大人に使う点滴セットだと、20滴で1mlの計算であり、1滴は1÷20=0.05mlとなります。2秒に1滴落ちると1時間に90ml、 3秒に1滴落ちると1時間に60ml体に入る計算になります。
しかし実際の医療現場での医師からの指示は、このような簡単に計算できる数ばかりでなく、「1時間に40mlとか、80mlとか、100mlの投与」といったものもあり、速度は9秒に2滴、3秒に1.33滴、2秒に1.11滴といった、かなりアバウトな調節になります。

正確なポンプ

心臓血管外科などの手術後の患者さんには、多くの薬が投与されています。心臓の動きを強くしたり、脈拍を整えたり、血圧を調整する効果など様々です。特にICUにいる間は、これらの薬を必要とすることが多く、一定の速度で体内に入ることで効果を調整しているため、投与する速さに正確さが求められます。そこで活躍するのが「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」という装置です。最小で1時間の投与量を0.1ml単位で調節でき、実際に現場では0.1ml単位での微調整をしています。
ちなみに目薬は2滴で0.1mlですが、みなさんは2滴の目薬を1時間かけて目にいれることが出来ますか?

シリンジポンプ

薬の相性

ICUに入室中の患者さんにおいては、5-7種類の薬を投与しなければならないのに、管が3-4本しか体に入っていない、なんていうことはざらです。このように多くの点滴や薬が投与される時は、いくつかの管を途中で合流するように接続し、混ぜて体に入れていきます。しかし薬によっては、洗剤のラベルにある「混ぜるな!危険」のように、混ざると固まってしてしまう薬や、良い効果が出なくなってしまうことがあるのです。薬の種類が多すぎるため、相性を確認できる表を常に使って、接続可否かを選択しています。


点滴の管の連結

薬の相性表

とにかく管は絡みます

入院中に点滴されたことのあるは、体を動かすだけで、気づかないうちに点滴の管が体に巻き付いていた、という経験がありますよね。ICUでベッド上に安静にしている時でも、点滴の数と管が多いため、気付くと管が絡まっています。電気製品のコードがコンセント周囲でグチャグチャっとなって、どれを抜いていいのか一瞬ためらうように、点滴もからまっていると、どこの管から投与されているのか分かりにくくなり、しょっちゅう管をたぐって確認しなければなりません。ですから私たちは、点滴の管が絡まっていたらすぐにほどきます!また点滴に薬剤名をラベリングすることで、間違えを回避します。
ICU看護師は患者さんの薬の投与においては、とにかく間違えを起こさず、安全な管理を心がけています。

ああ、点滴が電化製品のようにコードレス化になればいいのになあ・・・。