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iNO(一酸化窒素吸入療法)WEBセミナー」にて井上信幸医師が講演しました。

2021年12月20日

2021年12月16日に札幌で開催された「iNO(一酸化窒素吸入療法)WEBセミナー ~抜管後のNO(一酸化窒素)を考える~」において、「NOを使用した早期抜管への試み」という演題名で井上信幸医師が講演しました。

一酸化窒素吸入療法は人工呼吸器などの機械的な呼吸のサポートが必要な段階において、酸素にわずかな一酸化窒素(nitric oxide:NO)を添加することで、NOの「肺血管を選択的に拡張させる作用」を利用した治療法です。心臓病が悪化すると、肺の血圧が高くなる「肺高血圧」という重篤な状態を合併します。また大きな手術では、手術中や手術後に肺高血圧が新たに生じ、酸素の取込みが悪くなることがしばしばあります。これらの状態を改善させる治療法として、2015年10月から日本でも一酸化窒素吸入療法が保険適応となりました。
正式には「成人および小児心臓手術の周術期における肺高血圧」に対する使用が適応です。
使用により、肺の血圧が下がり、酸素の取込みが増すという効果が期待できます。

当院では道内でもいち早く本治療を取り入れ、弁膜症、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・大動脈疾患などのうち、肺高血圧を合併した重症な状態の患者さんの手術に対し、NOを使用することで、多くの命を救ってきました。
今回の講演では、当院で積極的に試みている、NOを手術後の早い段階から使用することで、人工呼吸器をより短期間で外すことが出来る可能性を報告したものです。
また当院の臨床工学技士 青木久剛 氏は本治療の機器使用に精通しており、今回の講演では2題目の演題として、スムースな機器の接続法を実演を交えてレクチャーしました。

WEB開催と現地参加のハイブリッド形式に加え、医療機器を使用した実演の生放送は初の試みであり、時間に追われ緊張しましたが、何とか滞りなく終えることができました。