静脈瘤治療のすゝめ医師 大友 有理恵
27歳の時、「足がだるい、ずっと立っているのがしんどい・・・」そう感じるようになり、電車では5分ももたず空いた席を探していました。
仕事でも夕方には足がむくみ、当時は立ち仕事の長い外科医の特徴だと思い込んでいました。ある日の手術後、自分の足首はいつも通りくびれが無くなり、それに気づいた上級医師が、「精密検査を受けたら?」と勧めてきたため、思い切って受診することにしました。
ちなみに足がむくむ原因はたくさんあります。心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)、そして静脈瘤。年齢と立ち仕事が多いことから、私の場合は下肢静脈瘤の検査をまず行うことになりました。
下肢静脈瘤は血管がボコボコと出っ張っているのが典型的ですが、むくみを初期症状とする場合もあります。エコー検査をしてみると、私の右足は静脈の逆流が多くみられ、外科的に手術をした方がいい段階まで進んでいました。
私の父が偶然にも血管外科医だったため相談したところ、症状が進行すると足の血管も目立つようになったり、皮膚が黒ずんでしまったり、血栓によって皮膚炎にもなる可能性もあること、また今後妊娠、出産をした際に大きなおなかが足の静脈の逆流をさらに悪化させてしまう、という説明を受け手術を受ける決心をしました。
私はレーザーで逆流している血管を焼きつぶすというカテーテルでの手術を受けました(当院と同じ方法です)。術後は太もものピリピリ感が1週間程度続きましたが、むくみも足のだるさもすっかり良くなり、現在はむくみ予防のために弾性ストッキングを履き続けています。
症状に気づいていながらも、様々な理由で様子を見ている方も多いと思います。たしかに下肢静脈瘤は直接命にかかわる病気ではありませんが、むくんだり、だるかったり、こむら返りが辛かったりと、日常生活に支障をきたす病気です。
私も自分の経験を活かし、今後の診療に役立てていきたいと思います。