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病気について

Dr.ヘルツの病院内めぐり

2022年6月7日

~第①弾 「心理検査室」編~

グーテンターク! Dr.ヘルツです。みなさん病院には診察、検査、治療に来られることがほとんどですよね。でも病院の中には耳にすることのない検査室や、部署もあり、病院関係者でも入ったことがないという部屋は少なくありません。そんなお部屋を訪問し、働く方々を紹介したいと思います。第1弾は「心理検査室」です。心理師の大倉さんにお話を聞きました。

 

Dr.ヘルツ:大倉さん。みなさんはどのような仕事をされているのですか?

大倉:私たちは大きく2つの事をしています。ひとつは発達障害をもつお子さん、そのご家族のメンタルマネージメントです。自閉症や多動性障害で当院の小児科外来を受診されたお子さんの現在の評価を行い、生活の中で困っていることがあればご家族を含めてサポートしています。もうひとつは、成人の脳の機能評価です。例えば、みなさんになじみのあるCTやMRI検査などは、脳の形(器質)を評価するものですが、私たちは脳の働き具合を評価しています。主に記憶や注意、意欲をクイズ形式で評価しています。

     見本通りに積木を並べる、または同じ形を選ぶことで視空間、推論能力を評価する検査

  

Dr.ヘルツ:これらの検査はどんな病気や状態の方に行うのですか?

大倉:主に認知症や脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)によって、日常生活に困っている方に行っています。脳のどの機能が低下しているかが分かることで、診断や治療計画に役立ち、治療の効果判定にも使用できます。

Dr.ヘルツ:大倉さん!これは何ですか?

 

大倉:これはドライブシュミレーターという病院には珍しい機械です。今日はこの機械について詳しくお話ししますね。

Dr.ヘルツ:よろしくお願いします。ここにいるみなさん心理士さんですか?

大倉:私たちは5年前に制定された国家資格である公認心理師です。北斗病院4名、十勝リハビリテーションセンター4名と、十勝で最も多く心理師がいる施設です。

  

安全なカーライフに対して病院ができること
臨床心理科 公認心理師 大倉 雄一

病院にドライブシミュレーター?

「北斗病院」と「十勝リハビリテーションセンター」には、なんと「ドライブシミュレーター」が完備されています。自動車教習所でよく見るゲームのような機械です。病院にこの機械が設置されていることは少なく、十勝では北斗グループにしかありません。どうして、こんな機械が病院にあるのでしょう。今回は、病院が交通安全のために取り組んでいることについてご紹介します。

自動車事故の原因

カーライフの中でも自動車事故は避けたいものです。令和元年の自動車事故統計を見ると、どうやら若い人と高齢者で事故原因が違うようです。75歳以下の運転者では「安全不確認」が最も多く、重大事故原因の25%を占めています。例えば右折時に進行方向ばかりに気を取られ、対向車をよく見ていなかった、というように「見てなかった」から起こる事故を「安全不確認」と言います。さらに、ぼうっと運転していた、脇見運転をしていたというような、「しっかり見てなかった」という「前方不注意」と合わせると、重大事故原因の70%程度になります。つまり、75歳以下の方では「注意力の問題」で事故が起こりやすいと言えます。

一方、75歳以上の運転者では、「操作不適」が最も多い重大事故原因となります。特にスピードが出ている状態でカーブにさしかかり、曲がりきれなかったことや、人や動物などが飛び出してきて慌てた結果、ハンドル操作を誤ってしまったといった「ハンドル操作不適」が全体の13.7%、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が7%で、それらを含む操作不適が28%を占めています(図1)。高齢者では、注意力の問題に加えて、慌ててしまったときの「とっさの動きが難しい」ことが影響していると思われます。


図1.死亡事故の人的要因比較(令和元年度 内閣府高齢運転者の交通事故の状況より)

運転して大丈夫かなー?

そのため、車の運転をしても大丈夫だろうか?という相談を病院で受けたときには、注意力と運転操作の正確さについて評価しましょう、ということになります。運転操作には「認知」、「判断」、「操作」という3つのプロセスがあります。このうち「認知」と「判断」は心理検査で、「操作」はドライブシミュレーターで評価しています。
ドライブシミュレーターではペダル操作・ハンドル操作の速さや正確さ、適切さといった項目を数値化し、同世代の方と比較します。心理検査結果と合わせることで、より正確に運転技能や注意機能をみることができます。

楽しいカーライフのために

十勝では、自動車は日常生活に欠かせない道具です。振興局別の人口では十勝は第5位ですが、乗用車の保有台数は旭川・室蘭に次いで第3位となっています。さらに大型特殊自動車の保有台数は札幌に次いで道内2位となっており、農業王国十勝を象徴するデータの1つです。車社会の十勝ですから、安全で楽しいカーライフを送りたいですね。北斗グループでは、脳神経系の疾患を患った入院や外来の患者さんの運転に対する認知機能を、必要に応じてドライブシミュレーターを使用して行っています。また北斗病院検診センターでは、「脳ドック」のオプション検査としてもこの検査を提供しています。2時間ほど検査時間(ドライブシミュレーター自体は40分程度)がかかり、疲れてしまう方も多いですが、その分細かくわかるのが特徴です。詳しくは、北斗病院検診センターまでお問い合わせください。