膵臓癌(すいぞうがん)を心配されている方へ(すいぞうがん)
当院では膵臓癌の早期発見を目指した積極的検査を実施しております
主な機能は2つあり、ひとつは食事の糖分・タンパク質・脂肪分を分解する消化酵素を分泌する機能(外分泌機能)、もうひとつは血糖をコントロールする内分泌機能でインスリンなどの分泌がそれに相当します。
図1
全国がん罹患モニタリング統計によると、膵臓癌の罹患数は男女共通では大腸癌、肺癌、胃癌、肝臓癌、に続き5位(年2~3万人)。女性の場合は乳癌との間で4位、5位を争っている順番になります。
まだまだ5位と言っては語弊がありますが、それではなぜ上位に君臨する他の臓器がん並み、もしくはそれ以上に注意しないといけないかといいますと、膵臓癌は予後の悪さでは断トツで首位に君臨し続けているからであります(表1、2)。膵臓癌の診断をうけ5年以上生存出来る方はわずかに7%と言われています。
その理由は膵臓癌の細胞自体の悪性度の強さ(成長の早さ)が原因でもありますが、それだけではありません。先にも述べたように膵臓は細長い臓器で一番太いところでも2cm前後程度しかないため、すぐはみ出てしまいます。そして周囲には肝臓へ栄養を送る太い血管(門脈)をはじめ細い動脈が多数張り巡らされているため、周囲の血管を巻き込む・癌が血流にのり全身転移をする、また、お腹のなかで一番背中側に位置し、さらにその上(腹部側)を大腸や胃で覆い隠されているため見つかりにくい(図2)など、予後を悪くさせる条件が揃っていると言っても過言ではありません。
図2
PETをすればよいのでは?と言われますが、残念ながら膵臓癌ではPETで見つかる大きさでも既に進行がんであることが多くそれでは不十分であります。また膵臓癌の約6割の方は糖尿病も併発されており、血糖が高いとPETの診断率が落ちてしまいます。
それではどのくらいの状態で膵臓癌を見つければ長生きできるのか?
表3は当科における各Stageにおける生存期間をグラフにしたものですが、塊になる前の上皮内がんという状態で膵臓癌を見つけないとなかなか長期の予後が望めないということになります。
表3
そんな極端な話になってしまうのか?そんな状態でどうやって癌をみつけるんだ?と思われてしまう方がほとんどかと思います。しかし、膵臓の中で癌が塊をなす前から膵臓全体の変形や膵臓内を走行する膵管の形の変化、新たな嚢胞(膵液の溜まり)出現。などの微細なサインを手がかりに精密検査していくことが重要で、まずは外来で超音波やCT、MRI検査のお互いの長所を最大限生かし多角的に評価することが大事になってきます。そして少しでも違和感を感じる所見があれば超音波内視鏡や、入院検査になりますが直接膵液を採取し癌細胞の有無をみる検査などが必要になってまいります。
当院消化器科では2015年6月から胆膵疾患部を立ち上げ、膵臓癌の早期発見に積極的に取り組んでおります。また、全国的にみても早期の段階で膵臓癌の拾い上げに努めている施設と連携をとりながら診療にあたっております。膵臓癌は好発年齢が65歳前後と職場を円満退職され第2の人生を謳歌し始める方々を狙ってきます。そして職場からの定期健康診断が途切れた頃でもあります。
- みぞおちが痛くて胃カメラしたけど異常がない、と言われた方。
- 背中が痛くて整形外科を受診したがどうもない、と言われた方。
- 真面目に糖尿病治療をしているにもかかわらず糖尿が悪くなる方。
- 膵臓癌や他臓器の癌の家族歴がある方。
- 健診やドックの超音波所見で膵の異常を指摘された方や膵臓のみ観察が不十分と言われた方。
上記をはじめ、膵臓癌を心配される方々はぜひ当科に足を運んでみてはいかがでしょうか。
膵臓癌のリスクと検査方針について
■膵臓癌の危険因子(“―”はデータなし)
下記表は左右にスクロールしてご覧になれます。
一般人口比 | 発生頻度 | 膵臓癌患者に占める割合 | |
---|---|---|---|
糖尿病(5年) | 2倍 | 6% | 26% |
喫煙 | 2~3 倍 | ― | 20~30% |
肥満(指数30以上) | 3.5 倍 | ― | ― |
年齢(70歳以上) | 5~6 倍 | ― | ― |
慢性膵炎 | 5~13 倍 | 5% | 2.6% |
膵臓がんの家族歴 | 6~13 倍 | ― | 4~9% |
膵のう胞(IPMNではない) | 22.5 倍 | ― | ― |
膵管内乳頭状粘液腫(IPMN) | 15~20 倍 (分枝型) |
15%(分枝型) 70%(主膵管方) |
― |
遺伝性膵炎 | 60~87 倍 | 10%(50歳時) 53%(75歳時) |
― |
■あてはまる症状・項目はありますか?
みぞおち・胃が痛くて胃カメラしたけど異常ない。と言われた。
背中が痛くて整形外科を受診したが大丈夫。と言われた。
真面目に糖尿病の治療をしているのに糖尿病がさらに悪くなる。
膵臓癌や他臓器の癌の家族歴がある。
健診や人間ドックの超音波検査で膵臓の異常を指摘された。
健診や人間ドックの超音波検査で”膵は描出不良”と記載された。
■膵臓のおもな検査方法
がんの見落としを防ぐために、違う検査を相互に組みあわせて総合的な評価が必要です。
■膵臓検査の時期
1年を通して膵臓をチェックしておくことが大切です。
リスクに応じて1年の通院(検査)回数を決めていきます。
経過を見ていく中で膵臓に変化があれば入院検査を検討していきます。
外来受診のご案内
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