社会医療法人北斗
コンセプト
「歩けない人を歩かせたい、自宅に帰れない人を帰してあげたい」
「地方でも最先端のリハビリテーションの提供」
1) 背景
- 高齢化率が増加する中リハビリの重要性は増している
- 十勝の帯広という地方都市にある道内最大の回復期リハビリテーション病院
日本が高齢化社会に突入したと言われ久しいが、総務省統計局によると2021年の高齢化率は 29.1%と過去最高となった。当然、高齢者ほど脳血管障害疾患や大腿骨骨折など運動器疾患の患者数は増加する。従って、必然的に急性期治療後に後遺症を抱え、在宅復帰へ向けリハビリテーションを行う必要のある患者さんが増加するため、益々リハビリテーションの重要性は高まる事となる。
この様な背景の下、十勝リハビリテーションセンターはリハビリテーションの専門病院として道内最大199 床の回復期病床と 1,141平米の広大なリハビリテーション室を整備している。
今回はさらに、患者一人一人に合わせた<テーラーメイド>のリハビリテーションを行うため、新たに301平米の先進リハビリテーションを行える場所を整備した。
2) 現状、課題
- 通常の人の手によるリハビリテーションの限界
日本リハビリテーション医学会ではリハビリテーションを「機能を回復する」「障害を克服する」「活動を育む」ことと定義している。これは例えば脳卒中後片麻痺が後遺した患者が「右麻痺という機能を回復」「歩行が困難という障害を克服」「復職という活動を育む」と言うことである。
残念ながら、以前のリハビリテーションでは機能回復が困難な事も多く、右手が使えないなら左手で行うといった代償手段の獲得に力を入れざるを得ない状況も認められた。また、人によるリハビリテーションでは細かい難易度調整が出来なかったり、繰り返し同じ動作訓練を行うにも限界がある。といった課題も抱えている。(人は疲れる。)
3) 対策、効果
- ロボットや電気刺激のようなモジュレーション機器の使用
- 当院独自として歩行、手指、上肢と全ての障害に対するロボットを取り揃え集約
- 最大限の機能回復の実現
近年、医療技術の進歩に伴い新しい医療が展開されている。例えば、外科手術ロボットである Da Vinci が良い例である。リハビリテーションにおいても障害された機能の回復の支援にロボットや電気刺激、磁気刺激などのモジュレーション機器が臨床応用されるようになってきた。当院でも下記に示す通り、いち早くリハビリテーションに訓練支援ロボット・モジュレーション機器を導入してきた。
ロボットは同一の運動を一定の介助量でどれだけでも繰り返しリハビリテーションを行うことを可能とし、また細かな難易度の調整も可能である点において人間によるリハビリテーションを凌駕している。また電気刺激も人の手では行うことが出来ない治療である。
患者が抱える障害は上肢、下肢、嚥下など多岐にわたることがほとんどであり、患者一人一人に合わせたテーラーメイドのリハビリテーションを行うためには種々の機器を組み合わせ、セラピストが患者の症状にあわせて使用調整することが必須である。先行研究においてもロボットや電気刺激を従来のリハビリテーションに加えることにより、人単体によるリハビリテーションより機能回復が得られるとの報告がされている。
当院では上肢、下肢、手指機能障害に対する全てのロボットを有しその特性を生かすべく通常のリハビリ室とは別に機器を集約した先進リハビリテーション推進室-ARO-を 2022 年 11 月に開設する。
患者さんに最適解となるロボット、電気刺激装置を組み合わせたリハビリテーションが可能となり、患者さんの機能回復を最大限に引き出すことができると考えている。これにより今まで以上に「歩けない人を歩かせたい」「自宅に帰れない人を帰してあげたい」の実現を目指す。
■ 機器導入沿革 ■
【訓練支援ロボット】
- 上肢訓練支援ロボット ReoGo®-J(2017/12)
- 手指訓練支援ロボット AMADEO(2019/9)
- 歩行訓練支援装置 C-Mill VR+(2019/9)
- 歩行訓練支援ロボットウェルウォーク WW-2000(2022/10)
【モジュレーション機器】
- 嚥下訓練電気刺激装置 VitalStim Plus(2022/7)
- 上肢機能訓練電気刺激装置 H200W®(2022/10)
- 下肢機能訓練電気刺激装置 L300 Go(2022/10)
4) まとめ、その他
- 地方でも最先端のリハビリテーションの提供
- AI の活用
この十勝の地で日本最先端のリハビリテーション医療を提供すべくこれから ARO を当院を牽引していくエンジンとして行きたい。
また、当院では今年度より患者さんの予後予測のために AI(Prediction One)を導入した。リハビリテーションのもう一つの大事な役割として患者さん、家族に予後予測を伝えるという仕事があるが、以前までのセラピストや医師による経験則からの予後予測と比較して AI の活用により、より精度の高いものが提供出来ると考えており、早期から退院後のサービス導入、家屋改修、装具作成など円滑な退院準備が可能となる。こちらも新たな先進技術として当院のリハビリテーションの中で活用していきたい。
5) 開設時期
2022年11月1日(火)
*是非とも実際に機器を使用していただき体験してください。
社会医療法人 北斗について
北斗は、1993 年に帯広市で脳神経外科を中心に、北斗病院を開設。道東・十勝圏域において急性期から在宅医療まで、シームレスに医療・介護を提供しています。「革新に満ちた医療への挑戦と新たなる組織価値の創造」を理念に、高度先進医療への取り組みも積極的で、デジタルPET-CT や経頭蓋MRガイド下集束超音波治療、遺伝子診断など、さまざまな技術を取り入れています。脳磁計測システムは2004 年に導入。最近は海外から脳磁計の専門家の参画を実現し、精力的な運用を行っています。また医療界における新しい潮流である「精密医療」を新たなテーマとして掲げ、患者一人ひとりに最適な治療を、効率的に選択するために、遺伝子診断や脳磁計を含む脳機能画像イメージングを応用することに注力しています。2013年には十勝地方のリハビリテーション担う十勝リハビリテーションセンターを開設。リハビリテーションスタッフ・看護師を始め全ての職員がチーム一丸で患者に寄り添うリハビリを提供。更にはロボットや電気刺激装置、磁気刺激装置を使用した最先端のリハビリテーションを実践しています。詳しい情報は、こちら をご覧ください。
プレスリリース:先進リハビリテーション推進室(Advanced Rehabilitation Office、ARO)の開設について(PDF形式)