当院では、昨今の脳卒中患者の自動車運転再開ニーズに応えるため、自動車運転再開支援チームを立ち上げ、多職種協働にて取り組んでいます。本研究では、 AI(Prediction One,ソニーネットワークコミュニケーションズ社)を用いて、脳卒中患者の運転再開の予後予測に関して、予測精度の確認及び作成したモデルが実用に耐えうるか検証しました。
回復期リハビリテーション病棟入院中に運転支援を実施した脳卒中症例74名のデータから、運転再開の有無に関する、高次脳機能検査結果による予測モデル(以下、高次脳モデル)と、高次脳機能検査にドライビングシミュレータ(DS)検査結果を加えた予測モデル(以下、高次脳+DSモデル)を作成し、Area under the curve(AUC)と予測寄与項目を比較しました。
結果、AUCは高次脳モデルで0.74、高次脳+DSモデルで0.85でした。また、予測寄与項目の上位項目の全てが、DSの反応動作速度に関連する検査項目でした。
高次脳+DSモデルは、更なる予測精度の検証を行うことで、運転再開の予後予測の実用に耐えうる可能性があり、また高次脳モデルは、反応動作速度を測定する手段を加えることで、予測精度の向上に繋げられることが示唆されました。


この結果を励みとして、これからも患者様の運転再開に向けて、
運転再開支援チームと共に取り組んでまいります。