英文誌「Physical Therapy Research」で、当院の安部千秋さんが、第15回優秀論文表彰優秀賞を受賞しました。

【論文概要】
本研究は脳性まひ患者の下肢サイクリング運動が下肢の痙縮を減少させるか検討することを目的としました。

20分間のサイクリング課題を行い、その介入の前後で誘発筋電図によるヒラメ筋H反射とPendulum testによる大腿四頭筋の伸張反射、さらに脊髄内のシナプス前抑制に関連するとされるD1抑制（総腓骨神経刺激への条件刺激を伴うヒラメ筋H反射）を評価しました。

D1抑制はサイクリング運動後に増強し、ヒラメ筋最大H反射と最大H反射/最大M波比の有意な低下を認めました。また、大腿四頭筋の反射も抑制されました。

下肢に痙縮をもつ脳性まひ患者において、サイクリング運動は伸張反射及びヒラメ筋H反射を抑制し、脊髄内の抑制性介在ニューロンの可塑性を引き起こすことが示されました。これらの結果は運動介入により下肢の痙縮が抑制する可能性と合わせて脊髄内の抑制性回路が関与していることを示唆しました。